ホーム・アンド・ジャーニー

ふるさとの珠洲(すず)と、そこから出てそこへと帰る旅にまつわるあれこれ。

チべット空想旅行 序章

 
 チべットに行きたい。
 これは、方々でことあるごとに言っているので、ぼくの口から直接聞いた人もいるかと思います。あるいはSNS上で。
 きっかけはもちろん、インドのチべット圏、ラダック地方のレーに行ったこと。
 初めてのインド旅行のとき、ガイドブックをパラパラと眺めていたら、ふと目に留まったある山の写真。
 うん、ここに行こう。
 これは直感でしかないのだけど、深いことは考えずに、そのレーという聞いたこともないところに行くと決めたのでした。
チベット」という言葉に馴染みのない人のために簡単に説明しておくと、以下のようになります(ぼくもチベット初心者なので、さわりだけ)。
 簡単にいってしまえば、チベット語を話し、チベット仏教(またはボン教)を信仰し、チベット高原一帯に住んでいる民族ということになります。

f:id:nouvellemer:20171230215801j:plain
レーの町並みをパノラマで。
f:id:nouvellemer:20171230215814j:plain:w400
レーの山。
f:id:nouvellemer:20171230220012j:plain:w400
右がチベット文字。左がインドで標準的なデーヴァナーガリー文字
 また、現在一般的には独立国家とは見なされていません。わかりやすい区分でいうと、中国の一部「チベット自治区」という区分があります。
 そして、チベット民族が住んでいるのはそのチベット自治区だけではありません。本当はもう少し広範囲に渡っていて、チベット自治区に隣接する四川省の西半分もチベット圏だし(アムド地方)、青海省の南部もそうです。
 さらに、インド北部、ぼくの行ったラダック地方もチベット民族が住んでいます。もっというと、ブータンやネパールの一部にもチベット民族は住んでいます。また、チベット自治区から亡命したダライ・ラマ14世は、インド北部のダラムサラというところで、他の亡命者数万人と共に暮らしています。
 世界地図を広げてもらえれば、だいたいこの範囲だなということがわかると思います。
f:id:nouvellemer:20171230220149j:plain
手元のガイド本より。見てのとおり、5000mを超える山々に囲まれています。
 チベットというものが一般的には国でないために、こういういい方になってしまうのです。なので、上で「チベット圏」と書いたのです。
 チベット自治区(特にラサ)が50年代から現在まで抱えている「チベット問題」については、また別の機会に書ければと思います。
 
 話を元に戻すと、ぼくが初めてのインド旅行で行ったレーというところ。ここが好きになってしまったのです。
 標高は約3500m。空気が澄んでいて、空が近い、青い。明るくてからっとしている。人々が穏やか、優しい、それでいて気さく。食べ物も美味しい。
 実は、このレーには当初1泊で帰る予定でした。デリーやバラナシで知り合った現地の人にそれを言うと、必ず「たった1泊? もったいない!」と言われたものです。
 しかし。高地ゆえの天候不順があり、デリーへと帰る飛行機が欠航になり、3日間足止めを食らったという経験があるのです(レーに行くには、飛行機が一般的で、バスで行こうとすると2〜3日かかるといわれています)。本来ならその後に、デリーから直接日本に帰って仕事をするはずだったのですが、それも不可能に。このときはパニクったものでした。なんせ人生2度目の海外旅行だから。インドは初めてだし。
 それはそうと、そんな不幸に遭ったレーなのに、なぜか好きになった。欠航になるずっと前、レーに降り立った瞬間に、「またここに来よう」と直感で思ったのです。
 ここはぼくが来るべきところだ。体がそういっている。直感は正しかった。そう思いました。
 そしてその思いは実行され、1年後のインド旅行では、しっかり1週間いる予定を立て、また帰ってきたのです。こういうことに関しては実行力があるのです。
 その2度目では、レーから車で山道を走り(途中5000m超の峠を越え)、ラダック地方の名所を周るツアーにも参加。存分に楽しみました。
 というのが過去の話。
 初めに「チべットに行きたい」と書いたのは、またレーに帰りたい、というのもあるのですが、それとは別に、チべット本土とでもいうのか、チベット自治区の方に行きたい、ということです。
 チベット人の本当の文化圏を見てみたい。
 主に、彼らの生活の一部であるチベット仏教というものの姿を見てみたい。彼らがそれほど人生をかけて信仰するチベット仏教とはなんなのか。観光ではなく、それを知る旅がしたい。この思いはインドにすら行かない期間、ずっと積もっていきました。
 それをそろそろ実行したいと、本気で思っています。
 実は、ものの本を読むと、チベット自治区の首都ラサでは、かなりの漢民族流入しているらしく、その数は元々のチベット民族のそれを越えたのだとか。これは中国政府の思惑がかなり絡んでいて、それについてはさっきも書きましたが、またもう少し勉強してから書いてみたいと思います。
 でもそれでも行きたい。ラサにはジョカン寺というチベット仏教の総本山もあるし、かつてダライ・ラマが暮らしていたポタラ宮もあるし、そしてなんせ、西の果てにはあのカイラス山があります。チベットの山に惚れたぼくは、そのカイラス山に行くことが悲願なのです。いろいろと難しいことはあるとは聞いているけれど、この思いは実現したいと思っています。
 ということで、目下取り組んでいる(?)のは、チベットの旅の空想。
 ガイド本やネットを眺めては、こういうコースをこういう日程で、こういう準備をして、こういうものを見て……と空想しているのです。
 それをこのブログに書いてみようと思い、立ち上がったのであります。
 
 とうことなんです。
 その本題はまた次回(またいつになるのか…?)、いろいろと書いて見たいと思います。さて!?