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ふるさとの珠洲(すず)と、そこから出てそこへと帰る旅にまつわるあれこれ。

山陰旅行2018 レポート「2日目② 鳥取砂丘編」

 
 これまでのお話はこちら。
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 8月29日。水曜日。午後。
 鳥取に来て鳥取砂丘に行くということは、インドに行ってタージマハルを見るということに等しい、というのがぼくの持論である。
 それで特になにかメッセージがあるわけではないけれど、別に間違ったことをいっているとも思わないです。
 そう、なんだかんだいいながら、結局ぼくは鳥取砂丘に行ったのです。というより、他に行くところがなかった。
 しかしなかなかよかった。鳥取一の名所だけあります。
 なにがあるって、なにもない。なにもないからこそ砂丘なのですから。
 ぼくはなんの予備知識もなく行ったので、多分フルには楽しめていないのでしょうが、それでも純粋に、いいところだなあと思いました。
 過去記事に書いたとおり、バスでここに着いたのが4時ごろ。帰りのバスに乗ったのが6時でした。2時間ほど、なにをするでもなく、ただ砂丘をうろついたり佇んだりしていたのです。そしてそれは、なんと贅沢な時間だったことでしょう。本当になにをするわけでもないのに、なんであんなにも穏やかな気持ちになるのか。いや、なにもしないから、あんなにも平和で心地いい時間が過ごせたのかもしれませんが。
 久々に、ああ、これが旅だな、と思いました。
 正直、学生を卒業(大学院は中退してるので、学生を卒業といういい方ですみません)してからの旅というのは、その時間が許されたものではないという負目みたいなものがありました。モラトリアム。学生というのは、気ままに旅していても背徳感がない。好きにできていました。でもぼくが真面目だからか、社会に出てからというのは、旅をしていても、虚無感というか、こんなことしていていいのだろうかという、後ろめたい気持ちがあります。それが「許されたもの」ではないという不安感。だれもその行為を「それでよし」と言ってくれない。多分、社会に出るということはそういうことなのかもしれません。
 でも鳥取砂丘にはそれがなかったのです。
 砂丘が、「いいんだよ」と言ってくれたような気がしました。
 そのときに言葉としてそう感じたわけではありませんが、今言葉にするならそういうことかもしれません。大袈裟ですが。
 でも本当に、そういう、許された時間のようなものが、鳥取砂丘にはありました。
 なだらかな下り坂を一旦降りてゆき、急激に登ったところで海岸が臨めます。その先にはさらに急激な下り坂があり、渚に降りることができますが、ぼくは、降りたら戻ってこれないと本能的に思い、その山のてっぺんでうろうろしていました。ばかみたいな嬌声を上げながら、文字どおり転がり落ちる子供もいましたが……。
 5時を過ぎたあたりから日が落ち始め(夕日が臨めます)、なにやら情緒的な雰囲気になり、海と反対側の斜面には、今いるところが影になって落ちている。自分の影が見下ろせます。砂丘の細かい波打ったような凸凹(風紋?)のコントラストも一層濃くなり、表情が立体的になります。
 もう空気は涼しくなっていて、風が気持ちいい。またなにより、裸足で感じる砂の感触が気持ちいいのです。
 そんな風にして2時間を過ごしていると、学生のときの旅の感覚を思い出したようで、なんともいい気持ちになったのでした。
 砂丘はなにもないからこそ砂丘だから、なのかもしれません。
 どこか忘れていた時間を思い出させてくれたような、心地いい体験でした。
 「気持ちい」「心地いい」の単語が連発されるほどです。
 砂丘の写真など、どうぞ。
 
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 次回、米子の植田正治とは!?の巻。