ホーム・アンド・ジャーニー

ふるさとの珠洲(すず)と、そこから出てそこへと帰る旅にまつわるあれこれ。

Green, Green, Grass Of Home 和訳に挑戦

ベスト盤

 和訳に挑戦シリーズ。
 今回は、前のほどメジャーではないけれど、わたしのすごく好きな曲です。
 カントリーの作曲家カーリー・プットマンの詩曲で、いろいろな人がカバーしています。
 わたしが知っているのは、トム・ジョーンズのバージョンで、このアレンジが最高に好きなんです。
 イントロのビブラフォン、それに続く和声を聴くと、天に召されるような幸福感に浸れるのです。
 アメリカの幸せな家族、故郷、思い出…。
 ほんとうは、曲の最後にひと捻りあるのですが…それはわたしの和訳を読んでみてください(毎度下手かもしれませんが、わたしの「感覚訳」だと思って、楽しんでみてください)。
 そのひと捻りがわかると、このアレンジのよさもまたわかるかも。


Green Green Grass Of Home - Tom Jones

Green, Green, Grass Of Home (Curly Putman 1965)
故郷のグリーン・グラス

The old home town looks the same
俺のいた町はなんにも 変わってなくて
As I step down from the train
汽車から降りたら
And there to meet me is my Mama and Papa
そこでママとパパが 迎えてくれたよ
Down the road I look and there runs Mary
道に出れば メアリーも駆けてくるじゃないか
Hair of gold and lips like cherries
黄金色の髪を揺らし チェリーの唇をしてね
It's good to touch the green, green grass of home
ああ、なんていいんだ 故郷のグリーン・グラスは……
Yes, they'll all come to meet me
おお、みんな俺のところに駆けてくるよ
Arms reaching, smiling sweetly
やさしく微笑みながら、手をさしのべて
It's good to touch the green, green, grass of home
ああ、なんていいんだ 故郷のグリーン・グラスは……
The old house is still standing
暮らしていた家も まだあるじゃないか
Tho' the paint is cracked and dry
ペンキはハゲて ヒビだらけだけどね
And there's that old oak tree that I used to play on
俺がよく遊んでいた オークの古木も一緒に
Down the lane I walk with my sweet Mary
いとしのメアリーと 小道を降りよう
Hair of gold and lips like cherries
そう、黄金色の髪と チェリーの唇のね
It's good to touch the green, green, grass of home
ああ、なんていいんだ 故郷のグリーン・グラスは……
[Spoken:]
Then I awake and look around me
そこで目が覚めて まわりを見渡したら
At the four grey walls that surround me
四面を灰色の壁で 囲まれてるじゃないか
And I realize, yes, I was only dreaming
ああ、そうか 俺は夢を見ていたんだ
For there's a guard and there's a sad old padre
ここにいるのは看守と 悲しい目をした老いたパードレ様
Arm in arm we'll walk at daybreak
彼らと腕を組みあって 俺は夜明けに連れていかれるのか
Again I touch the green, green grass of home
もういちど触れさせてくれよ 故郷のグリーン・グラスにさ
Yes, they'll all come to see me
おお、みんな駆けてくるんだろうな
In the shade of that old oak tree
俺のいる オークの木陰に
As they lay me neath the green, green grass of home
俺の眠る 故郷のグリーン・グラスのもとに
 
 語りの部分で明らかになるのは、この人は死刑囚で、歌詞前半の光景は執行の日に見た夢だったということです。
 そして最後、故郷のオークの木の下に埋葬されるんですね。
 はじめは、幸福感あふれる曲なのかと思っていたけど、ちゃんと歌詞を読むと、そういうことだったのかとわかります。
 ふしぎなのは、わかった上で聴いても、この曲のイメージは激変するというよりは、より味わい深くなることです。
 わたしは、こういう郷愁を感じる、弱者の曲が好きなので、何度も何度も聴いています。
 カバーしているのは、他に、エルヴィス・プレスリーや…


Elvis Presley - Green Green Grass Of Home (best video)

 ジョニー・キャッシュのバージョンは刑務所の慰問の風景ですね。


Johnny Cash - Green, Green Grass Of Home

 ジョーン・バエズのバージョンは、カントリーらしくていいですね。


Joan Baez - The Green Green Grass Of Home
 
✴︎words & sentences✴︎
・grass:草、牧草、芝。ここでは特に「故郷の家の庭の青い芝生」という意味ですが、考えた末、「グリーン・グラス」としました。
・crack:割れる、砕ける。受動態なので「割れた」。歌詞は、家の塗装が乾燥してハゲているということだと思います。
・surround:囲む
・realize:知る、気付く
・guard:守衛、監視員、看守。ここは拘置所なので「看守」
・padre:神父、牧師、司祭。キリスト教のことがよくわからないので、どれが正しいのかもわからず。単語として「パードレ様」がいいと思ったので、こうしました。
・arm in arm:腕を組み合って