ホーム・アンド・ジャーニー

ふるさとの珠洲(すず)と、そこから出てそこへと帰る旅にまつわるあれこれ。

「ミティラー美術館」は新潟にある

インドに行きたいなあ。 なんとなく思いながら、ある雑誌のインド特集を眺めていると、面白いページを見つけました。 「ミティラー画」と「ワルリ画」という、インドの民族的な画についての、4ページだけの特集。「が」と読むのか「え」と読むのかは知りませ…

チべット空想旅行 序章

チべットに行きたい。 これは、方々でことあるごとに言っているので、ぼくの口から直接聞いた人もいるかと思います。あるいはSNS上で。 きっかけはもちろん、インドのチべット圏、ラダック地方のレーに行ったこと。 初めてのインド旅行のとき、ガイドブック…

室生寺の紅葉の写真を載せます

金沢・現代会議の続編はまた後日。 今日は奈良2日目の室生寺観光の写真を載せるだけ載せます。 1日目はこちら。 nouvellemer.hatenablog.com 撮るだけで絵になる、室生寺パワー。すごくいいところでした。 室生寺は「女人高野」。たぶん高野山がかつて女人禁…

中山達磨陶展@奈良「夢雲」レポート

11/25〜26と、1泊2日で奈良のギャラリー夢雲へ、中山達磨陶展を見に行ってきました。 珠洲から車で5時間半ほど。楽しい車の旅。 情報は前回の投稿を参照ください。 nouvellemer.hatenablog.com 簡単にいうと、昔から知っている珠洲焼の作家中山さんの個展を…

中山達磨陶展のために、奈良へ

明日から1泊2日で、奈良まで行ってきます。 目的は、うちの近所で陶芸をやっている中山達磨(たつま)さんの個展。 場所は奈良の室生寺の近くのギャラリー「夢雲(むうん)」というところ。 夢雲のブログを参照ください。 www.39moon.com 中山さんとは子供の…

ご当地耳かきを求めて

旅先で面白いものを見つけたりして、人へのお土産として、あるいは自分用に買ってしまう、ということはよくあると思います。 ぼくの場合も、旅先で必ずといっていいほど買うものがあります。 それは、耳かき。 その土地土地のゆるキャラや名産品などが頭につ…

東北旅ショートノベル:6日目「岩手の人とカッパと(全文)」

最終回のみ読みたい方はこちら。 www.nouvellemer.jp 1 「お兄ぢゃん、おもしれえ時計してっなあ」 遠野駅の駅舎を出ると、すぐに声をかけられた。声の主は客待ちのタクシー運転手のおじちゃんで、花壇に腰掛けて暇そうにしている。隣には同業者が煙草をふか…

東北旅ショートノベル:6日目「岩手の人とカッパと(最終回)」

第1回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/30/181233www.nouvellemer.jp第2回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/31/193703www.nouvellemer.jp第3回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/06/06/210010www.nouvellemer.jp第4回 http://www.nou…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(5)」

第1回 www.nouvellemer.jp第2回 www.nouvellemer.jp第3回 www.nouvellemer.jp第4回 www.nouvellemer.jp(承前) 「しかたねぇな。帰るしかねぇか」。坂を下りながら、カッパが残念そうに言う。 「いえ、僕はもう十分です」。心にもないことだが、僕は、あと…

東北旅ショートノベル:6日目「岩手の人とカッパと(4)」

第1回 www.nouvellemer.jp第2回 www.nouvellemer.jp第3回 www.nouvellemer.jp(承前) それが建築の発する光だとわかるまでに、僕は数十秒ほどかかったように思う。はじめは、瓦が太陽光を反射しているだけのように思えたのだが、色が違う気もする。瓦の反射…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(3)」

第1回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/30/181233www.nouvellemer.jp第2回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/31/193703www.nouvellemer.jp(承前) 随分長いこと水の中を流されていたと思う。たぶん、人間が普通に息を止めていられる時間を…

東北からのアイム・ホーム

(カッパのは話の続きはちゃんと書いています。まとまったら、また後日こちらに載せます。家に帰ったのにそのままカッパの話を続けるのもあれだったので、帰宅してのことを簡単に。) 家に帰るまでが遠足だとよくいう。 以前、旅の準備が好きだ、あれこれと…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(2)」

前回のお話。 www.nouvellemer.jp(承前) 爬虫類のように見えるが、よく見るとくちばしが付いている。そして、体は緑色だが顔は赤い。さらに、頭にぬるっと湿った皿状のものがある。皿の淵にはふさふさとした毛が生えている。カッパだ。 「そうだよ。カッパ…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(1)」

「お兄ぢゃん、おもしれえ時計してっなあ」 遠野駅を出ると、すぐに声をかけられた。声の主は客待ちのタクシー運転手のおじちゃんで、花壇に腰掛けて暇そうにしている。隣には同業者が煙草をふかしている。僕はその言葉が自分に向けられたものかどうか、最初…

東北旅ショートエッセイ「5日目:青森の悲しさとかわいさと」

青森の人たちはみな、うら悲しい目をしている。 かっこつけて文学的な表現をしたいわけではなく、実際そう見えるのだからしかたがない。旅人らしく彼らに話を振ってみても、みな申し訳なさそうに一言なにかを返すだけで、話は長く続かない。たぶん迷惑してい…

東北旅ショートエッセイ「4日目:青森に今度は西行と鴨長明が現れた」

ぼくがちょうど五所川原から青森駅に着いて、ホテルにチェックインしようと向かっているとき、夕食を済まそうと思い立ってガイドブックを広げると、よさそうなお店が近くにあることがわかった。「マロン」という喫茶店で、名物はジャマイカンカレーらしい。…

東北旅ショートエッセイ「2日目:秋田の味」

秋田にはずっと興味があった。その文化に、である。 なまはげに代表されるような伝統風俗、いぶりがっこやきりたんぽなどの食べ物、土方巽の舞踏(写真集『鎌鼬』)、そして民謡。これらの文化は、ぼくの中ではひとくくりにつながっていて、ひとつの大きな「…

東北旅ショートエッセイ「1日目:山形と五月雨」

昨日の夜からむっとした空気が街を覆っていて、なんとなく過ごしにくかった。明日は雨かもしれない、と思ったらやはりそうで、昼過ぎから小さい雨が地面を湿らせはじめた。それはぼくが県中部の村山駅を出て、最上川に北上しているくらいのときだった。 そこ…

思い出はどんな味

東北旅出発前として、昨日「知らないところに向かって」と題した記事を書いたが、実はまだ東北には達していない。石川から向かうとなると、その前に新潟を通らなければならないからだ。 通るというか、ぼくはここでまず1泊した。 新潟は、ぼくが大学生として…

知らないところに向かって 〜東北旅出発前〜

予定を立てるのが好きだ。 この日にはこことここに行く、というような目星はみんなつけるだろうし、行きたいところのだいたいの時間から、電車の乗り降りの細かい時間まで。それを決めて、紙に記録する。以前は時刻表とにらめっこだったが、今ではスマホのア…

東北に行ってこよう

ここのところずっと、ああ、旅に出たい旅に出たい、とばかり考えて悶々としています。 地方を巡る一人旅は、考えてみれば4年ほどしておらず、遠くへ行くといえば東京かインドでした。地方に行っていない。ああ、地方に行きたい。 名もない駅前の定食屋でカツ…

インドを旅したことについて

旅人はみな、インドを目指す。 このブログのタイトルは「ジャーニー」であって、「トリップ」や「トラベル」ではありません。 一般的に、Tripは「(短い)旅行」、Travelは「(普通の)旅行、旅行する」ということなので、「(長い)旅」を意味するJourneyと…

ごあいさつ

こんにちは。 この度、このブログを開設しました、こえといいます。 このブログでは、ぼくの住んでいる珠洲(すず)という土地と、そこを拠点に出発する旅のことを主に書いていきたいと思います。 珠洲は、能登半島のいちばん先っちょに位置する、人口一万数…