ホーム・アンド・ジャーニー

ふるさとの珠洲(すず)と、そこから出てそこへと帰る旅にまつわるあれこれ。

「ミティラー美術館」は新潟にある

インドに行きたいなあ。 なんとなく思いながら、ある雑誌のインド特集を眺めていると、面白いページを見つけました。 「ミティラー画」と「ワルリ画」という、インドの民族的な画についての、4ページだけの特集。「が」と読むのか「え」と読むのかは知りませ…

珠洲から東京に行くには……(今日、東京に行きます)

また放置していたブログですが、旅のブログなので、今日更新します。 今日から2日間、東京に行くのです。 父と二人で。親子二人旅。 特に目的もなく、ただなんとなく東京に。 行きたいところはこんな感じ。 アクアラインで木更津に そこでしか手に入らないCD…

チべット空想旅行 「河口慧海」

チベットに行きたいけれど、そうすぐには実現できないことなので、本の世界に浸ることが最近の慰めです。 そこで、あるガイド本を読んでいたら、ある人物を知りました。 河口慧海(かわぐち・えかい)という人。 明治の僧侶なのですが、この人こそが日本にお…

2017年 読んだ本で振り返る

新年あけましておめでとうございます。画像は昔飼ってた犬です。 今年も当ブログ「ホーム・アンド・ジャーニー」をよろしくお願い申し上げます。 さて、ぼくは読書メーターというサイトで読んだ本を記録しているのですが、2017年に読んだ本をまとめられるよ…

チべット空想旅行 序章

チべットに行きたい。 これは、方々でことあるごとに言っているので、ぼくの口から直接聞いた人もいるかと思います。あるいはSNS上で。 きっかけはもちろん、インドのチべット圏、ラダック地方のレーに行ったこと。 初めてのインド旅行のとき、ガイドブック…

縁・自由・身体 〜金沢・現代会議を聴いて〜 ③

第1回では、姜尚中氏の話を元に、漱石の話、漱石が語った「因果」について、少し仏教的なことを書きました。 nouvellemer.hatenablog.com 第2回では、内田樹氏の話を元に、日本的霊性、それから派生した身体性と霊性の関係について書きました。 nouvellemer.…

縁・自由・身体 〜金沢・現代会議を聴いて〜 ②

(承前)前回の記事です。 nouvellemer.hatenablog.com 一人目の姜尚中氏を受けて、というわけではありませんが、次は内田樹氏の講演がありました。タイトルは「大地の霊について」。 姜さんとなら、ということで、わざわざ神戸からサンダーバードで来られた…

室生寺の紅葉の写真を載せます

金沢・現代会議の続編はまた後日。 今日は奈良2日目の室生寺観光の写真を載せるだけ載せます。 1日目はこちら。 nouvellemer.hatenablog.com 撮るだけで絵になる、室生寺パワー。すごくいいところでした。 室生寺は「女人高野」。たぶん高野山がかつて女人禁…

縁・自由・身体 〜金沢・現代会議を聴いて〜 ①

昨日11/28(火)、金沢で開かれた講演会+ディスカッション「金沢・現代会議」というイベントに参加してきました。 これは、鈴木大拙館が毎年主催しているイベントで、ぼくは一昨年から聴くようになったものです(そのときは深澤直人さんと中沢新一さん)。 …

中山達磨陶展@奈良「夢雲」レポート

11/25〜26と、1泊2日で奈良のギャラリー夢雲へ、中山達磨陶展を見に行ってきました。 珠洲から車で5時間半ほど。楽しい車の旅。 情報は前回の投稿を参照ください。 nouvellemer.hatenablog.com 簡単にいうと、昔から知っている珠洲焼の作家中山さんの個展を…

中山達磨陶展のために、奈良へ

明日から1泊2日で、奈良まで行ってきます。 目的は、うちの近所で陶芸をやっている中山達磨(たつま)さんの個展。 場所は奈良の室生寺の近くのギャラリー「夢雲(むうん)」というところ。 夢雲のブログを参照ください。 www.39moon.com 中山さんとは子供の…

ご当地耳かきを求めて

旅先で面白いものを見つけたりして、人へのお土産として、あるいは自分用に買ってしまう、ということはよくあると思います。 ぼくの場合も、旅先で必ずといっていいほど買うものがあります。 それは、耳かき。 その土地土地のゆるキャラや名産品などが頭につ…

今までとこれからのぼくの活動について[追記]

前回の記事で大事なことをいい忘れていました。 これから考えていることとして、別冊「かく」(インド旅行記)の再販と、小説の出版をあげていましたが、その前にやりたいことがあります。 ずっと前のこのブログでも書きましたが、5月に東北を旅してきたので…

今までとこれからのぼくの活動について

また黙ったままでした。 「俺の国際芸術祭2017」シリーズはちょっと…挫折、です。 今日確認したのですが、今年ぼくが出した詩集『おとはきこえ』の売り上げ(著者の取り分)が振り込まれていました。だいたい4500円ほど。 ネットでの販売分が14冊とのことで…

俺の奥能登芸術祭2017 ②「Space工場ライブレポート」

今日は「Space工場ライブレポート」ということで、どんな感じでライブが行われているのか、雰囲気だけでもお伝えしようと思います。 Space工場は、昔祖先(?)が機織り工場をやっていた建物をプチ・ライブハウスとして使っているものです。年に数回のライブ…

俺の奥能登芸術祭2017 ①「プチ・ライブハウス Space工場」

まず「俺の」の巻頭を飾るべき、珠洲のイカすイベントといえば、やはり「Space工場」になるでしょう。 奥能登が誇るアマチュアミュージシャンたちが中心となって、ライブを開催する、その発表の場となっています。 HPもあるので、覗いてみてください。 www.s…

俺の奥能登芸術祭 2017 宣言文

どいつもこいつも、芸術祭をすればいいと思っている。チイキカッセイカだ。 芸術だ。アートだ。田舎だ。人だ。自然だ。空気だ。つながりだ。文化だ。風俗だ……、なんだ、なんだ。 それで具体的にどうなるのかは知らないが、全国を席巻する芸術祭とやら(全国…

東北旅ショートノベル:6日目「岩手の人とカッパと(全文)」

最終回のみ読みたい方はこちら。 www.nouvellemer.jp 1 「お兄ぢゃん、おもしれえ時計してっなあ」 遠野駅の駅舎を出ると、すぐに声をかけられた。声の主は客待ちのタクシー運転手のおじちゃんで、花壇に腰掛けて暇そうにしている。隣には同業者が煙草をふか…

東北旅ショートノベル:6日目「岩手の人とカッパと(最終回)」

第1回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/30/181233www.nouvellemer.jp第2回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/31/193703www.nouvellemer.jp第3回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/06/06/210010www.nouvellemer.jp第4回 http://www.nou…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(5)」

第1回 www.nouvellemer.jp第2回 www.nouvellemer.jp第3回 www.nouvellemer.jp第4回 www.nouvellemer.jp(承前) 「しかたねぇな。帰るしかねぇか」。坂を下りながら、カッパが残念そうに言う。 「いえ、僕はもう十分です」。心にもないことだが、僕は、あと…

東北旅ショートノベル:6日目「岩手の人とカッパと(4)」

第1回 www.nouvellemer.jp第2回 www.nouvellemer.jp第3回 www.nouvellemer.jp(承前) それが建築の発する光だとわかるまでに、僕は数十秒ほどかかったように思う。はじめは、瓦が太陽光を反射しているだけのように思えたのだが、色が違う気もする。瓦の反射…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(3)」

第1回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/30/181233www.nouvellemer.jp第2回 http://www.nouvellemer.jp/entry/2017/05/31/193703www.nouvellemer.jp(承前) 随分長いこと水の中を流されていたと思う。たぶん、人間が普通に息を止めていられる時間を…

東北からのアイム・ホーム

(カッパのは話の続きはちゃんと書いています。まとまったら、また後日こちらに載せます。家に帰ったのにそのままカッパの話を続けるのもあれだったので、帰宅してのことを簡単に。) 家に帰るまでが遠足だとよくいう。 以前、旅の準備が好きだ、あれこれと…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(2)」

前回のお話。 www.nouvellemer.jp(承前) 爬虫類のように見えるが、よく見るとくちばしが付いている。そして、体は緑色だが顔は赤い。さらに、頭にぬるっと湿った皿状のものがある。皿の淵にはふさふさとした毛が生えている。カッパだ。 「そうだよ。カッパ…

東北旅ショートノベル「6日目:岩手の人とカッパと(1)」

「お兄ぢゃん、おもしれえ時計してっなあ」 遠野駅を出ると、すぐに声をかけられた。声の主は客待ちのタクシー運転手のおじちゃんで、花壇に腰掛けて暇そうにしている。隣には同業者が煙草をふかしている。僕はその言葉が自分に向けられたものかどうか、最初…

東北旅ショートエッセイ「5日目:青森の悲しさとかわいさと」

青森の人たちはみな、うら悲しい目をしている。 かっこつけて文学的な表現をしたいわけではなく、実際そう見えるのだからしかたがない。旅人らしく彼らに話を振ってみても、みな申し訳なさそうに一言なにかを返すだけで、話は長く続かない。たぶん迷惑してい…

東北旅ショートエッセイ「4日目:青森に今度は西行と鴨長明が現れた」

ぼくがちょうど五所川原から青森駅に着いて、ホテルにチェックインしようと向かっているとき、夕食を済まそうと思い立ってガイドブックを広げると、よさそうなお店が近くにあることがわかった。「マロン」という喫茶店で、名物はジャマイカンカレーらしい。…

東北旅ショートエッセイ「3日目:青森にあらわれた三島由紀夫」

この旅の合間の時間に読むために、ぼくは1冊の本を持ってきた。三島由紀夫の『小説家の休暇』(新潮文庫)という本だ。あまりヘビーなものでは気が滅入るし、長い小説だとその世界とこの旅の世界とがちぐはぐになるし、なにかちょうどいいものはないかと、山…

東北旅ショートエッセイ「2日目:秋田の味」

秋田にはずっと興味があった。その文化に、である。 なまはげに代表されるような伝統風俗、いぶりがっこやきりたんぽなどの食べ物、土方巽の舞踏(写真集『鎌鼬』)、そして民謡。これらの文化は、ぼくの中ではひとくくりにつながっていて、ひとつの大きな「…

東北旅ショートエッセイ「1日目:山形と五月雨」

昨日の夜からむっとした空気が街を覆っていて、なんとなく過ごしにくかった。明日は雨かもしれない、と思ったらやはりそうで、昼過ぎから小さい雨が地面を湿らせはじめた。それはぼくが県中部の村山駅を出て、最上川に北上しているくらいのときだった。 そこ…